原宿クロコダイルでの、結成 20th 記念ライブを終えたばかりの FIX 。
都内の某スタジオにて、新アルバム” Move On ” の制作秘話を語ってもらいました。
今回から数回に分けて Taku, Susie, 辻伸介の各メンバーへのインタビュー記事を掲載していきます。

━━━━ 今回のアルバムで「最も伝えたかったメッセージ」は何でしょうか?
うーん、そうだね 。(しばらく考える)
「いつまでも精神的に老いぼれることなく生きろ
帰るところは必ずあるから大丈夫」
っていう事かな。
何ていうか、大変な思いをして生きていても、きっとだれかが見てくれていて、わかっていてくれてるって思うんだ。
もちろんアルバムを聴いてくれている人に伝えたいことなんだけど、反対に自分へのメッセージでもあるような気がしているよ。
すべてのものは生まれて死んでいく。
アルバムが完成してから改めてそう思ったんだけど、人間も物も、星も動物も、恋愛もすべて、時間と共に変化していって、いつか無くなってしまうよね。
でもきっとその先があるって感じたんだ。そういうことを言いたかったんだよ。
━━━━ 曲作りやレコーディングで、今回こだわったポイントや新しいアプローチはありましたか?
これまで曲作りは、僕がほとんどのパートを打ち込みで作って、デモ・テイクをメンバーに渡していたんだ。
なのでソロ・ワークの時間が長かった。
しかし今回は、歌とギターのみのデモ音源を持っていって、メンバーと作り上げていったんだよ。
あえて自宅でデモを作り込まなかった。集中したかったし、たくさん曲を作りたかったんだ。
アレンジ面ではとくに、辻ちゃんのアイデアを積極的に取り入れた。
そうすることで曲の広がりができ、今までのFIXには無かった新たな一面が見えたんだ。
こんな感じでメンバーと共同作業は楽しかったし、刺激的だった。
アルバムジャケットの制作や、ディレクションの部分でも共同で作ったし、全てにおいて新しいチャレンジをしたアルバムと言えるね。
━━━━ コーラスワークも凝っていて良い感じですね。
ありがとう。
某歌謡曲を丸パクリしてボツになった曲もあるんだ。まぁ、メンバーを楽しませようとしてわざとやったんだけどね。(笑)
━━━━ アルバムタイトルや全体のコンセプトを決めた背景を教えてください。
「Move ON」というアルバムタイトルはレコーディングの直前に決まったんだ。
というか、タイトル曲となった「Move ON」は、レコーディングの直前にできた曲なんだ。
「何か前向きなものにしたい」っていうイメージはあったんだけど、コアになる曲は決まっていなかった。
そんな感じだったんだけど、ある日レコーディング前の、飲みながらの打合せの席で Susie が「Move on」というタイトルのアイデアを出してくれたんだ。
だから「Move On」は、先にタイトルができて、その後に作ったんだ。そしてその曲名が、アルバムタイトルになった。
アルバムのコンセプトに関しては、もともとなかったんだ。「今現在のFIXの姿を表現できればよい」と思っていた。
ただ、以前と似たようなアルバムを作ってもしょうがないし、密度の濃いアルバムにしたいというのがあって、あえて6曲入りにした。
というのも、サブスクで久しぶりに90年代以降のストーンズのアルバムを聴いていたときに、最初の5曲くらいしか記憶にないなことに気が付いたんだ。
そういった気付きも、6曲入りにした理由のひとつだったりするよ。

━━━━ 後編につづく。
次回もひきつづきTaku に「曲作りのインスピレーション」
「アルバム制作で苦労した点」について語ってもらいましょう。



